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Project 03 新車立ち上げ(セレナe-POWER)
プロジェクト

日産の品質を、さらに先へ。
新型セレナにかけた技術者としての挑戦。

プロローグ

日産自動車が展開する、圧倒的な売り上げを誇るミニバン「セレナ」。そのフルモデルチェンジにおける組立工程の生産技術を、日産クリエイティブサービス(NICS)が担いました。当社が携わる新車立ち上げとしては、先代モデルの「ノート」「セレナ」、新型モデルの「エクストレイル」に続く4車種目。今回のプロジェクトでは、NICSの技術力とチームワークを存分に発揮し、社内外から高い評価を得る品質を実現しました。その裏側にはどのような困難や想いがあり、そしてこのプロジェクトを通じてどのような成長ができたのか。プロジェクトリーダーの森川が語ります。

  • 森川 貴也

    Takaya Morikawa プロジェクトリーダー 生産技術事業部 車両生産技術センター車両技術部 組立技術課 生産技術

Project Story of NICS. Project Story of NICS.

日産自動車の看板車種を立ち上げる。
その大きな期待と責任を胸に。

NICSは、日産自動車の各生産工場に常駐し、そこで生産している車種(モデル)の新型化などに特化した技術力を活かしながら、これまでに新車の立ち上げをいくつも手がけてきました。その中でも特に大きな評価を得たのが、2023年に行われた「セレナ」のフルモデルチェンジです。先代モデルに搭載され好評を博した「e-POWER」や、さらに進化した自動運転を搭載する新型セレナは、日産自動車の将来を担う看板モデル。そのような車種の新型化に携わることはNICSの技術者にとっても大きな挑戦であり、期待とともに重大な責任も感じていたと森川は語ります。

森川「先代のセレナの新車立ち上げプロジェクトは、私は参加できなかったものの、日産自動車から高い評価をいただく結果を残しました。今回のフルモデルチェンジを任せてもらえたのも、その実績があってのこと。私がプロジェクトのリーダーを任せてもらうにあたり、期待に応えなければならないという強い想いがあったのはもちろん、過去の実績を超える、より良い品質のクルマをつくりたいとも考えていました。

私にプロジェクトリーダーの話が巡ってきたのは、以前『エクストレイル』のフルモデルチェンジでプロジェクトリーダーを手がけた実績からです。また、日産自動車九州にて私が責任者を務めているNICSの組立技術チームの統率力と技術力、そしてコミュニケーション力を評価してもらえたことも理由の一つだと思います。新型セレナのフルモデルチェンジを任せてもらえたことで、これまでの生産技術者としての経験や技術力が高く評価されたことをうれしく感じるとともに、一方で自身のキャリアとして一つの乗り越えるべき大きなカベであると感じました。絶対に成功させようと心に誓いましたね」。

生産ラインをイチから構築する中で、
品質のために重ねた試行錯誤。

森川率いるチームが手がけるのは、工場の生産ラインにおける組立工程の再構築。今回の新型セレナは、新型e-POWERが搭載され、システム、エンジンも刷新となることに加え、生産している他のモデルとの混流生産を成立させる大きなプロジェクトでした。そのため、車両担当が一人で約300点ものすべての部品の品質、作業性などを管理する方法ではなく、シャシ、内装・外装、電装の各部位ごとに担当するグループを編成することで、それぞれの品質の目標達成を狙いました。

森川「新型セレナではe-POWERが第2世代へと進化し、旧型からの変更点が多数あったため、管理には非常に苦労しました。セレナにはガソリンエンジンも搭載されるので、そちらをつくりながら並行してe-POWERも同じラインで混流生産しなければなりません。これまでになかった工程をどこで実施し、どう品質を担保するのかは、答えがある訳ではないので、成立しないかもしれないという心配と不安にもなり、悩まされたところですね」。

プロジェクト中盤では、当初の想定よりも規模の大きな作業が突発的に発生した箇所や時期があったために、メンバーの一部に高い負荷がかかる状況になってしまいます。

「設計時点では大きな変更がないとされていた箇所に設計変更が入ったこと、各担当間での連携が取れていなかったことにより、業務負荷が大きくなっていました。生産ラインでは次の工程に絶対に不具合を渡してはいけません。目標の品質を達成するために、この時点で体制を大きく変えなければならないと決断しました」。

業務体制の大幅刷新に挑み、
過去に例のない早期での品質目標を達成。

課題の解決には、各部位の担当者からの情報集約と、担当間の横連携が不可欠と判断した森川。そこで、従来の手法にとらわれず、日々の業務体制から大きく見直すこととなりました。

森川「まず、全員参加の会議をデイリーで設定。これまで部位ごとに管理していた日々の進捗と課題を全員が同時に把握することで、他の部位の担当者同士が業務負荷をカバーできる体制へと変更しました。各担当者が、“他の担当者にどれくらいの負荷がかかっているか”、“サポートに入れるメンバーは誰か”まで知ることで、業務の難易度や進捗状況に合わせて分担を柔軟に切替えられるようにし、各自の負荷を平準化。また、顕在化した課題を日々全員で共有するようにしました。担当部位が違っても別の部位と同じような不具合が発生するケースがあるためです。その結果、不具合が起きそうな箇所に先回りしてアプローチでき、対応時間を最小限に抑えることができました。担当者それぞれの経験則で取り組むのではなく、コミュニケーションを取りチームの知識と経験を一つに集約し、活用することが課題の早期解決に繋がりましたね」。

課題決着を早期化させたことや、お客さまに自信を持ってお渡しできるよう、重要な品質管理項目の確認をチーム一体となって行ったことで、安定して高い品質で生産できる体制を、過去の実績を超える早さで実現できたと森川は語ります。また、従来の業務体制からの大きな変更に果敢に取り組んだことは、技術者としてもNICSの組立技術チームとしても大きな成長につながる結果となりました。

次世代のスタンダードとなるクルマを
世に送り出す喜び。

この新型セレナ立ち上げプロジェクトは、NICSの技術レベルを引き上げる成果として評価され、社長賞を受賞しました。森川が確立したノウハウは、他の日産自動車の工場にも展開され始めています。

森川「“不具合や課題を徹底的に解消し、次工程へ悪いものは渡さない”という、やるべきことを追求した結果だと思います。組立工程での不具合対策を完遂し、各担当者と笑顔で次工程へ送り出せたときは大きなやりがいを感じました。今後、より多くの拠点でNICSに新車立ち上げを任せてもらえる実績の一つになったと思っています。別のプロジェクトにも反映できるよう、今回のノウハウをシステム化して、しっかり伝えていくことがいまの役割です」。

市場からも高く評価され、「テクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤー」と「RJCカーオブザイヤー」を受賞した新型セレナ。あわせて新型セレナに搭載された「e-POWER専用 HR14DDeエンジン」が「RJCテクノロジーオブザイヤー」を受賞。時代をリードするモノづくりができるやりがいや、誇りを感じられる仕事だったと、森川は語ります。

森川「今回新しくなったe-POWERは、他の車種にも展開されていく先駆けとなる技術で、モーター駆動ならではの、なめらかで力強い走りと静粛性にこだわっています。自分が手がけたクルマが発売されると私自身も試乗しにいきますが、やはり良いクルマに仕上がったなと実感しました。街中でe-POWER搭載のセレナを目にすると、e-POWERの魅力を感じてもらえたのだとうれしくなりますね。『これからのスタンダードになっていくクルマをつくれた』という充実感にあふれたプロジェクトでした」。

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